栃木県足利でとある繊維工場の事務所内通信設備の工事をインテグレーションしたときのことです。
どうやら既得権を持っていたようで、道路(公道)をまたぐように内線電話の回線がありました。○TTの専用線を利用していないのです。工場に内線電話機が、自宅兼事務所にPBX主装置があります。今後は、
- 工場内の一室を事務所として利用し、自宅は事務所としての利用を止める、
- 旧事務所で利用していた契約回線を工場内の新事務所に引き込む、
- 契約回線は同番移行でISDNにする、
- TAはNECのIW50を使用し、PHS電話機五台を内線電話機として使用する、
- TAのアナログポートにFax専用機を取り付け、iナンバーで用意した番号でFaxに着信させる、
というものです。現在は無人局になってしまいましたが、当時は営業窓口のあったテレコム石神井に行き、
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契約回線の収容場所移動
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ISDN同番移行
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Iナンバー取得
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これらの工事実施日
の事前打ち合わせをしました。
工事当日、
「ちわ〜、○TTです。」
という若者が工場に現れ、電信柱より電話線を引き込みをしていきました。
「現在、以前使用していた事務所への古い回線もつながったままです。あとで撤去します。こちらの回線はもう使用できるはずです。」
ということで帰っていきました。
宅内に設置されたローゼットにTAをつないで、PHSとFaxで世間と送受信出来るようにTAの設定をするのは私の役目です。これもすぐに終わり、地元の○TT局と通話試験をすればおしまいというところまできました。地元の○TTに電話をし「試験通話である。」旨伝えると、向こうからも折り返し着信をしてくれて試験をしました。このとき、
「ループバックと同時に直流を測定したら、直流が漏れています。」
というのです。直流は局の交換機で確認が出来るのですね。最初は○TTの方の指示に従って、TAのDSUへの収容をリバースしてみたり、電源を入れなおしたりしましたが解決しないようです。もっとも、直流漏れを回線リバースで解決できるわけないと思いますがね。
また、○TTの方は、TAが直流漏れを起こしていると疑っているようですが、今回使用したNECのIW50という端末は新品購入ですが、事前に石神井で局線に接続し、直流漏れもなく、既に正常稼動を確認しておきました。そこで、先ほどの現場にきた若者が言っていた言葉が気になり、こちらから訊いてみました。
「午前中に現場に来た御社の方が、以前使用していた事務所への古い回線もつながったまま、あとで撤去する、と言っていたけど、現時点でも古い回線を撤去せず、まだブランチ状態でつながっているんじゃないの?」
もう使用しなくなるPBXに収容されている撤去するはずの局線がまだ電気的に生きていれば、直流が漏れているように測定されてしまうかもしれない、ということです。PBXが生きていようと死んでいようとどのような状態であっても、そこに収容されている局線が生きているとすれば、そのこと自体が論外です。あるいは、今回新たに工場に引き込んだ局線がまともでないとか間違っているのかもしれません。いずれにしてもこちらの責任範囲ではありません。
「契約回線の収容場所の移動とISDN同番移行が今回のオーダーですから、局内交換機の下でほかの回線とブランチになっているかどうかはこちらの責任範囲ではありません。端末が直流をもらしている不良品ならばともかく、そうではないのだから直流漏れはそちらで対処していただきたい。」
といいました。しばらく保留状態のあと、別な方が電話口に出てきて
「あー、○×■△?&%#していないの?」
とこちらが理解不可能なことをとても横柄な言葉で訊いてきました。
「はぁ、何でしょうか?」
と尋ねると、
「おまえ、ハンダ通信じゃないの?」
と○TTの電話工事を下請けしている工事会社の名前を訊いてきました。
「こちらはユーザーです。お客です。私は客側の技術担当者です。」
と伝えると、
「あっ。」(ガチャン!)
と電話は切られました。
電話を切られてしまっては仕方ありませんね。すぐに、テレコム石神井で担当していただいた方に電話をかけ、
「今こんな状況だけれども、直流漏れとか以前の回線の撤去とかそちらの仕事範囲だから、そちらにお任せしていいですね?」
と確認をとって帰りました。
その後、○TTからの連絡がないところから「直流漏れ」も解消したのでしょう。また「工事下請けと間違えた横柄な電話」についても謝罪を含めた連絡は未だにありません。
困ったもんですねぇ。
初出 Oct 2000
最終更新日 09 Nov 2003