転職希望者やフリーターの就職希望者がITエンジニアを目指して通うタイプの
学校がある。MCPの一つでもとって転職・就職しようということだ。この手の
学校はそのほとんどがMSUを真似てカリキュラムを提供している。時にはどこ
から手に入れたのか本物のMSUのテキストをwordで打ち直して利用しているよ
うな学校もある。しかし、設備はMSUとして認定されるには程遠い設備である
ことも多い。
MXPentiumやAMD K6-IIでWindows 2000 Serverのインストール実習をしたり、PentiumIIで
Windows 2003 サーバーを動かそうとしたり。講師の操作や画面を映し出すプ
ロジェクターもない。講師を自前で用意できないので人材派遣会社にオーダー
しそのノウハウを盗もうとする。そして講師にMSU並の内容を要求する。受講
生に提供する価格もMSU並だ。しかし本物のMSUは受講生に対し「この講座を受
講してメリットがあるかどうか」を判断するプレリクスキルチェックを推奨し
ているが、これらモドキの学校は「素人で経験がなくてもMCPになれる」がご
とくの宣伝をしてお客を募集する。
トレーナー・インストラクターを仕事としている人の中には、
「思い通りに講義できないときに設備のせいにしない。
無い中でも受講生に満足を与える、」
ということを宗教のように信じている方も多いが、
-
二世代も三世代も前のPCで実習する
-
プロジェクターは無い
-
受講生はプレリクスキルチェックもわからないど素人
に対して、
提供することを講師に要求しても
「そりゃ無理だわ!」
と考えるのがまともであろう。
将来、エンレジニアを希望しているが現時点ではど素人の受講生には、それな
りの内容とレベルを提供すべきなのだ。いくらMCPとCCxxが国家資格ではない
といっても、要求されるスキルは一朝一夕で身につくものではない。ところが
学校を経営している人々はある理由から受講生に幻想を与える。したがって、
講師はMSUのお仕事よりはるかに安い賃金で無理難題をこなさねばならない。
MSUを開講できる施設はCTECである。CTECFはあるレベル以上の機材と人員を設
備していなければCTECとして認定されない。MSUで教えられる講師はMCTを取得
している。MCTのお仕事はMSUモドキよりもギャラがよい。さらに、完成された
カリキュラムと整った設備を利用して講義できる。また受講生は一定のレベル
以上のスキルを持ったエンジニアである。教えやすいぞ~。
「パソコン覚えよう。」
とか
「Excel・Wordを覚えよう。」
というレベルの学校ではなく、
「ネットワークエンジニア、目指すはMCP・CCNA!。」
とかいう学校で、設備も人材も無いのにも関わらず、MSUモドキを望むトンデ
モナイ学校が増えているように感じる。なぜ、こんな粗悪なITスクールが増え
るのだろう?
理由の一つに、
があると考える。
MSUが一週間拘束の講座で25万円程度の金額であることから、この手のモドキ
を提供する学校も一講座につき同程度の料金を集める。フリーターや転職希望
者は現在のお仕事を休んで受講できるならばMSUにいけるだろうが、一週間に2
日受講し、一講座あたり五週間かけて終了するスケジュールで受講する。(土
曜日曜は受講希望殺到だ!)複数の講座を3コース分前金で支払わないと講座を
受けられないようにしている学校もある。
ちょっと計算してみよう。
教室に16人は入れるとして
-
25万円 × 16 = 400万円
すごいなぁ!
シフトで3コース実施していたら一ヶ月で1200万である。これじぁ、非力なCP
並べていないで、リースで最新PCを並べてもいいんじゃないか?なんて考えて
しまう。駅から歩いて20分で筑30年程度のビルのテナント料支払ってもやって
いけるだろうに?
初心者・ど素人には本人が望んでも、
-
運動もしていない人が一気に階段三段飛び越し登りを試して、出来ずに転げ落ちて怪我をするのと同様、
-
いきなり予備知識ありの経験者向けコースではなく、初心者向け「PCってこう使うんだよ」コースから
と薦めるのが本当の親切であろう。本人が望むからといっていきなり難しいコースを許すのは、親切のふりしたボッタクリである。
で講師をしてきた
もうずいぶん前の話である。Windows 2000 Server ImplimentとWindows 2000
Server TCP/IPの2コース、更にネットワークの基礎コースを講義してきた。お仕事を紹介するコーディネーターから、
「誰を派遣してもすぐに辞めたがるスタッフが続かない学校なんです。」
という話を聞かされた。
「講師に対して契約時間外でも環境設定などで働くことを要求するお客様です。」
ということである。
「天災先生は余力があるから、そのようなことにも手を出せるでしょうが、ほ
かの先生はいわゆるサラリーマンですから、ギャラの対象ではない環境設定は
しない・出来ない・余力がないから対応できないので、先生も講義だけにして環境設定には手を出
さない・ギャラの対象以外のお仕事を増やさないようにお願いします。」
「先生には何でもないようなことでも、ほかの先生には負担になりますから。」
「先生が対応されてしまうと他の先生も対応せざるを得なくなりますから。」
ということである。
へぇ~、今回は楽ジャン!!
しかし、うんな事言われても、テキスト丸暗記で講義をする先生ではなく、現役のネッ
トワークエンジニアでもあるのだから、
-
マウスクリックやキーボード入力も出来ないような人は論外
だが、そこそこ、基礎知識がある受講生には、
話をしてきた。すると、多少とも出来る受講生には、
「今までの先生の中では一番知識がある。」
「判りやすい。」
といわれたが、いわゆるモドキの学校に多いネットワーク未経験者には、
「ま~ったく判りません。」
という評判であった。そりゃそうだ。受講生に前提知識がないのだから。
これでMCPホルダー?
Windows ServerのDHCPサーバー機能の実習時、物理ネットワークを2台で一組
にして一方をサーバー、一方をクライアントで構成、2人1チームで実習した。
ケーブリングなどの環境設定は施設側準備ということになっていたので私は設定しない。これはこ
の仕事を融通してくれた方からの指示である。今回のお仕事はそのようなお約
束であった。
実習が始まるとクライアンPCに思い通りのアドレスが払い出されない。どうや
ら同一セグメントに全てのPCがいて、複数のDHCPサーバーが存在しているよう
だ。そこで受講生に断って全てのPCを一度重複しない静的アドレス設定にし
た。そしてあるPCから全てのPCのIPアドレスにpipngを打つと、やっぱりreply
があった。そこで、この学校の経営者であり環境設定をした人のところに行き、
「もしかして、全てのPCが同一セグメントに存在していませんか?」
と訊くと、
「えぇ、そうですが、何か?」
と何の問題も感じていないようであった。そこで、
-
DHCPサーバ機能を実習するときには、全てのDHCPサーバを別セグメントにする必要があること、
-
PC2台に1台のハブを用意することなく環境を構成するには、リバースケーブルで十分なこと、
を説明した。すると今度は、
「今で来ていただいた講師の方はどなたもこのことを指摘した方はいなかっ
た。ずっと同じ環境で実習したいただいたが、それではDHCPの実習はできてい
なかっのでしょうか?」
と訊いてくる。今回お仕事を融通してくれた人が、今までどんな派遣スタッフ
の先生をこちらの学校に送り込んでいたのかは知らない。でどのようにこの
DHCPの講座をこなしていたかはこのときには判らなかった。
※ 後で紹介者に訊いたら、
「どの先生も一度は試すが実習は出来ないのでテキストのみで済ませた。お客
様にはわからないように。」
ということであった。少なくともDHCP実習が出来ないことは判っていたようだ。
一応はMCPホルダー(その何人かはMCSE)であることまでは紹介者から聞き及ん
でいたので、
「どのようにこのDHCPの講座をこなしていたかは存じませんが、DHCPの仕組み
から言って、同一セグメントに複数のDHCPサーバを立てるネットワークはこの実
習にはあいません。実務ではリダンダントを考慮して配布するアドレスに重複
が起こらないように担当するアドレス範囲をずらして同一セグメントに複数の
DHCPサーバを立てることはあります。MCPを取得している方だったら本自習に
はこちらの標準ネットワーク構成は合わないと判るはず、変更が必要と考えるはずですが…」
とお話した。すると、一つだけMCP試験には合格(NT4.0 workstationだったかな?)には合格
していたようで、
「わたしもMCPです!」
と言う。そんなにMCPであることが自慢ならばこのネットワーク構成がDHCP実
習に合わないことがわかると思うのだが…。
この後この校長兼経営者は、この校長は自分のスキルの無さを置いといて
「今まで来た講師はなんでこのことを指摘しなかったんだ。」
と講師を派遣した人材派遣会社にクレームを言っ
た。自分も気がつかなかったのにね。
別な講師から同じコースの講義を受けていた受講生が、僕の講義を受けた受講生と情報
交換したらしく、
「先生の次の講義は、いつ?・どれ?でしょうか?。僕受講したいのですが。」
という受講生が現れ始めた。こうなると一流のエンジニア
のふりをして受講生には威張っていた校長兼経営者が面白くないらしい。
「校長は何も知らない!」
と受講生に判ってしまったから。
ど素人が来た
学校としては受講生に「受講するにはそこそこの基礎知識が必要」と説明しているらしいが、ある日、
「コンピューターを触るのは初めてという受講生を受け入れました。私どももそのような受講生を受け入れないと商売をやっていけませんので。マウスの使い方から面倒を見てください。」
ときた。この受講生やっぱり講義内容について来れなくて、
「なに言ってんだかわかんねぇよ!!」
と授業中に皆に聞こえる声でブーたれる。しかし、彼を相手していると他の受講生から不満が出るのも必至。PCを触ったこともない人に、TCP/IPの基礎やWindows 2000 Serverでの資源とユーザー管理のお話をしてもそりゃ判らないでしょう。
MSUでは「受講しても無駄になりますよ」と引導を渡すために、受講前のプレリクスキルチェックテストを推奨している。5日コースで25万円という大金なんだからね。もちろん受講前提知識が無くでもお金さえ払えば受講は出来る。しかし、受講前提知識が無い人が
「お金を支払ったんだから判るように教えろよ!」
という無理を言ってはいけない。
ところがこここの学校はMSUモドキだから内容はMSUレベルなのにも関わらず自分たちが儲ける為に、PCを触ったことも無いようなど素人に対してPCネットワークを理解させよ!、という無理難題を言う。
こんな経営者は
「やらずボッタクリになってしまうのは講師の責任!」
と考えるのだろうな。
設定は積み重ね。
MSUモドキの講座であるから、次回は前回の設定を引き継いで実習を進める。
ところがある日、一台だけ前回の設定がなくなっていてインストール直後の状態となっ
ていた。そういえばその日の朝、
「いつもはお約束通りはなかなか出来ませんが、今日は徹夜してばっちり作っ
ておきました。」
と自慢げに校長兼経営者が挨拶してきたっけ。
「これはもしかして~…」
といや~な予感がして確認に行くと、案の定、
「はい、Windows 2000を新規インストールしドメイン構成にしておきましたが、何か?」
ときた。
あ~あ、ばっかだねぇ~
「本講座は前回の設定を引き継いで実習を進めるので、OSの新規インストール
をされると続きの内容で実習が出来ないのです。」
と伝えた。更に、
「MCPならばご存知とは思いますが、同姓同名でも新規インストールしたWindows コンピューターは以前の同姓同名マシンとSIDが異なります。同名ドメインのドメインコントローラーとして構成しても既存ドメインに参加できません。ましてや本講座は受講生2人がパートナーとなってフォレストルートドメインに追加のサブドメインとして1台目と追加のドメインコントローラーを構成します。前回、追加のサブドメインの最初のドメインコントローラーとして構成したコンピューターに、OSの新規インストールをすると例えドメインもコンピューター名も以前と同名でも、このコンピューターばかりか先週のままである2台目のドメインコントローラーも実習できないのです。」
とつたえた。
(あなたがどこかでパクッて来たMSUのテキストもそのようになっている。)
更に、
-
ドメインで初めてのドメインコントローラーを再インストールしたのならば、ドメインの再構築になるから、2台目のドメインコントローラーも再インストールしなければならないこと、
-
それ以外にはドメイン操作マスタへの昇格操作で行う方法もあること、
を伝えた。
Windows は、SID・・・Security ID というIDでコンピューターアカウントとユーザーアカウントを管理している。一度削除したコンピューターアカウントやユーザーアカウントは、同姓同名のアカウントを再度用意しても以前と同じアカウントとは認識されない。それだけセキュリティに厳しい。Unix互換OSにはない資源管理である。このWindows独特のSIDという概念は、ついうっかり忘れるエンジニアも多いので、MCP試験によく出題される基本内容である。実務でWindowsネットワークを管理しているエンジニアには当たり前のことなのだが、丸暗記でMCPになったり、実務経験が無く講師ばかりしているMCPホルダーには「なんのこっちゃ?」という概念である。
またまた、自分の知識は間違っていた、という事実がみんな(受講生)に判って
しまった。これが先方には面白くないらしい。
「今の受講生レベルでは先週の終了状態まで構築するのに6時間はかかる。これでは2人の受講生が今日一日受講できない。PCの速度から言って僕でも2時間はかかる。」
というと、
「私でも2時間あれば出来る。」
という。ならば今朝の授業開始までにその様にしておけよ、と思う。まぁ、Acrive Directryの知識が無いから、何時間あっても駄目だとは思うが・・・。
更に、別な講座で、間違って操作したためそれ以後の実習が続行不能になった受講生
がいた。この始末は私の業務範囲ではない契約なのにも関わらず、
「未然に誤った操作を防げるだろう!」
「講義を終えた後直せるだろう!」
「前日に来るなりして設定できるだろう!」
「先日の設定引継ぎでさえお前が早朝対応すればいいじゃないか!」
などと言いがかりをつけ始めた。お金を支払ってくれるお客様である受講生が困ることはどんな無理なことでも講師が回避する、ということらしい。まぁ、月に1200万円も売り上げているのに投資せず貧相な環境設備なのだから、受講生から
やらずボッタクリ!
と言われたくないのでしょうね。
別な感想は、まぁ、月に1200万円も売り上げているのに環境設備に投資しないというおかしな考え方・哲学をもっていないとこんなボッタクリ商売も出来ないのかな?なんて感じた。
僕は、
-
もちろん自分で出来ることならば契約外でも気持ちよくはやりたいが、
-
無理してまで契約外に対応することは無いはず
-
ましてやこちらのような非力なマシンではOS再インストール・ドメインコントローラー再インストールも一時間程度では出来ない
という事情もある。
このことは、お仕事を紹介したくれた方には報告。
「やっぱり天災さんでもぶつかってしまいましたか・・・」
とコーディネイターの感想。多くのスタッフが中途で辞める理由がわかるよね。
そのうち、
「あの講師を別なものと交代させよ!」
と要求してきたらしい。これは、派遣法でも職業安定法上でも違法である。業務委
託先として某人材派遣会社に委託していたとしても、来た講師は選べない。派
遣の場合はなおさらである。でも、こちらもこのお仕事から離れる潮時だと考
えたので辞めることにした。
繰り返す、こんなITスクールに行ってはいけない
最終更新日 09 FEB 2005